ディズニーアニメ50作品目を記念して登場した「塔の上のラプンツェル」。
好奇心旺盛でかわいいラプンツェルと、自信家だけれどイケメンのユージーン(フリン)のキャラクターに夢中になった人も多いでしょう。
ではそんなユージンについて、どれだけ知っていますか?
ユージーンが多くの観客をとりこにした魅力とは何なのでしょうか?
またユージーンのキャラデザインはどうやって決まったのでしょうか?
ここでは「塔の上のラプンツェル」ユージーン(フリン)の魅力や製作秘話3選などを紹介していきます。
1.「塔の上のラプンツェル」ユージーン(フリン)のキャラクターの基本情報
ユージーンの魅力はどういったところにあるのでしょうか?
それではさっそく、「塔の上のラプンツェル」のヒーロー、ユージーン(フリン・ライダー)について、キャラクターの性格などの基本情報を紹介していきましょう。
①本業は泥棒だった
ユージーンとラプンツェルは、偶然というよりむしろ運命と言っても良いような出会いを果たします。
ユージーンは王女のティアラを盗んでスタビントン兄弟から逃げ出す途中、たまたま見つけた塔にいたのが、ラプンツェルでしたよね。
ユージーンの本業はなんと泥棒。
これまでのディズニーアニメはプリンセスと恋に落ちるのは決まって王子さまか、たとえ貧しくても心が清らかな人物と決まっていました。
その点から見ても、ユージーンのキャラクターはかなり異色ではないですヵ?
昔のディズニーアニメは、主役である女の子(プリンセス)が男性と恋に落ちるというストーリーが王道で、プリンセスの相手役であるヒーローには、あまり個性というものがありませんでした。
時代の流れとともに相手役の男性にも徐々に個性が生まれ、様々な人物が登場して、節目ともいうべき50作品目にして「泥棒」という「ワルい男」がプリンセスの相手役になる、ということは何だか感慨深いものを感じてしまいます。
②自信過剰でナルシスト
フリン・ライダーは自信過剰でナルシスト。
おそらく過去には必殺の「イケてるスマイル」と「キザなセリフ」で多くの女性をとりこにしてきた男性です。
こういう書き方をすると、何だかディズニーアニメや映画でよくある「ヒーローのライバル役」に多いキャラクターでしょう。
エマ・ワトソンが主役を務めた「美女と野獣」に出る、悪役のガストンはまさにこのキャラクターに当てはまります。
ユージーンが歴代の悪役たちとは違う点は、女性を支配しようとしない、わざと自分を「ワルく見せようとしている」という部分がある(孤独な過去がある)からでしょうか。
始めはチャラチャラとした軽い印象のあるユージーンですが、ストーリーが進むにつれて徐々に男らしい部分が表れ、最後には映画館でラプンツェルと一緒にポーッとなってしまった方も多いのではないでしょうか?
③ユージーンとラプンツェル、年の差は8歳!
「塔の上のラプンツェル」ではラプンツェルの年齢を18歳、ユージーンは26歳で、ディズニーアニメのヒーローにしてはかなり年上の男性です。
ディズニーアニメでカップルとなった男女はたくさんいますが、ユージーンとラプンツェルのカップルは、いちばん年齢差が大きい二人なのだそうです。
現実では年の差が8歳違い、それ以上のカップルはたくさんいるので、何となくこのあたりは「時代に合わせた」といった印象もありますね!
2.「塔の上のラプンツェル」ユージーンはディズニー史上最高のイケメン!?製作秘話3選
「塔の上のラプンツェル」のヒーロー、ユージーンは「ディズニー史上最高のイケメン」との呼び声も高い人物です。
そんなユージーンはどのような話し合いであのキャラクターデザインになったのでしょうか?
「塔の上のラプンツェル」製作秘話3選を紹介します。
①ホット・ガイ・ミーティングで「イケメン」顔を作成した
ディズニーは「塔の上のラプンツェル」を製作するにあたり、ユージーンのキャラクターを「イケメン」と設定しました。
キャラクターデザインでは「ホット・ガイ・ミーティング」と呼ばれるミーティングが行われ、スタッフが魅力的だと思う男性の写真を見比べながらユージーンのキャラクターデザインを決定したそうですよ!
ツイッター上では
「(俳優の)エイドリアン・ブロディに似ている!」
といった声が多く聞かれました。
確かに面長の輪郭と長い鼻がよく似ていますよね。
②「プリンセスと魔法のキス」での失敗を生かして作られた!
ディズニーアニメ49作目となるアニメーション映画「プリンセスと魔法のキス」。
「カエルになったお姫様」を基に作成されたアニメでしたが、ディズニーの予想にはずれて興行収入は思った程振るわなかったそうです。
その原因としてあげられるのが「プリンセスを強調し過ぎたため、男性客からの評価が得られなかった」と言われます。
昔のディズニーアニメでは受け入れられた世界でも、多様化する現代では少々古くさく感じられたのかもしれませんね!
前作の失敗をうけて登場したのが、「塔の上のラプンツェル」のユージーンです。
このころのディズニーは、「今までとは違う、新しいプリンセスとヒーローの物語」を模索していたようにも思えます。
前作「プリンセスと魔法のキス」も、新しいことにチャレンジした痕跡がいたるところに見えますよね(初の黒人プリンセスなど)。
ユージーンもまた、今までとは全く違ったタイプのヒーローです。
前作の手痛い失敗をうけて作られたキャラクターだけあって、綿密に練り込まれたキャラクターやストーリーだったからこそ、多くの観客からの支持を得られた作品に仕上がったのではないでしょうか?
③「塔の上のラプンツェル」は男性客を意識したタイトル設定になっている
前作の「プリンセスと魔法のキス」は女性から見れば何ともありませんが、男性が見るのは少々気恥ずかしいタイトルでしょう。
「塔の上のラプンツェル」の原題は「Tangled 」で、これは「もつれる・絡み合う」といった意味合いの言葉です。
元々はヒロインの名前そのものの「Rapunzel(ラプンツェル)」の予定だったのですが、前作が女性寄りのタイトルだったことを受けて、現在の「Tangled 」に変更されたんですよ。
原題には「(ラプンツェルの髪が)もつれる」という意味もさることながら、「運命のもつれ」「(二人の)運命が絡み合う」といった意味があると考えられますね。
3.「塔の上のラプンツェル」ユージーンが切り落としたものの正体
「塔の上のラプンツェル」はグリム童話「ラプンツェル」をもとに製作されました。
長い髪、塔の上に閉じ込められた少女など共通点も多いのですが、ラストは全く違った内容になっています。
グリム童話版「ラプンツェル」と「塔の上のラプンツェル」の違いやユージーンが切り落としたものは何を象徴していたのか紹介していきましょう。
①グリム童話では塔から落ちたのは王子自身だった
「塔の上のラプンツェル」のラストは、自分の年老いた姿を鏡で見たゴーテルは半狂乱になってしまい、そのまま塔から落ちてしまうというものでしたね。
実はこれはディズニーのオリジナルストーリーで、グリム童話では塔から落ちたのは王子さまだったのです。
ディズニーアニメでは塔から落ちたのはユージーンではなく、ゴーテルでした。
またラプンツェルの髪を切り落としたのは、ディズニーアニメではユージーンでしたが、原作のグリム童話では育ての親であるおばあさんがラプンツェルの髪を切り落としたのです。
ここに原作とディズニーアニメとの違いがあります。
ディズニーのラプンツェルは、塔の外に出たがるラプンツェルをゴーテルが塔に閉じ込め続けようとします。
両者の意志がつな引きのように対立しギリギリの状態になった時、ユージーンはラプンツェルを解放するため髪を切り落としました。
ゴーテルは自らの欲のため、ラプンツェルの髪を切ることができなかったのですね。
そこに両者の違いがあり、結果として塔から落ちたのは王子(ユージーン)から老婆(ゴーテル)へと移り変わったのかもしれません。
②ユージーンが切り落としたものは自分の過去だった
ユージーンは自らの命と引き替えにして、ラプンツェルの髪を切り落としました。
ラプンツェルの髪がなくなれば不思議な力は消えてしまいます。
ラプンツェルの髪は「力」の象徴でもありますが、ユージーンが切り落としたものは力だけではありません。
- 親からの軋轢
- 仮親との確執
- 生まれ育った塔からの巣立ち
- 過去の自分
これらすべてのものからの解放も意味しているのではないでしょうか?
さらに言うと、物語の冒頭でユージーンが
「これはオレがどうやって死んだかを描いた物語」
と言っています。
これはおそらく、ラプンツェルの涙によって「フリン・ライダーが死んで、ユージーン・フィッツハーバードが生まれた物語」という意味の、彼独自の言い回しなのかもしれませんね!
5.まとめ
ディズニーアニメ「塔の上のラプンツェル」のヒーロー、ユージーンについて、彼のキャラクターや性格、また原作との違いについて紹介しました。
何の前情報もなく見ても楽しめる映画ですが、豆知識や原作との違いを比較して見るのも楽しいですよ。
この機会に、もう一度「塔の上のラプンツェル」を観てみませんか?
新たな感動が生まれること、間違いなしですよ。