2016年の公開以来、大ヒット作となったアニメーション映画「ズートピア」。
”ディズニー最高傑作”との呼び声も高い「ズートピア」は、個性あふれるキャラクターが魅力で、「私はニックが好き!」「フラッシュが最高!」とそれぞれファンがついているようですね。
ここでは「ズートピア」主人公・ウサギのジュディが好かれる理由4選と、ジュディ好きは閲覧禁止?原語版と日本語吹き替え版の違いについて紹介していきます。
ジュディに好感度が高いのは、瞳の色に隠されていた?
ジュディは差別主義だったって本当?
さっそくチェックしていきましょう。
1.「ズートピア」主人公・ジュディが皆に好かれる理由4選を紹介!
ウサギだけれど、弱くもないし馬鹿にされたくない!
正義感が強く、頑張り屋のジュディが好かれる理由とは?
ジュディが好かれる理由4選を紹介していきます。
①ジュディの瞳の色が好感度の秘訣だった!?
ジュディの瞳の色、何色か覚えていますか?
しょっちゅうアップでジュディの表情を観ているはずなのに、「あれ?そういえば何色だったかな?」という人も多いのではないでしょうか。
ジュディは灰色の毛並みに、瞳の色は綺麗なスミレ色の瞳を持つウサギです。
スミレ色の瞳は、母親のボニー・ホップスから受け継いだもの。
ウサギと言えば白い毛並みに赤い目を連想することが多いですよね。
小さな子どもにウサギの絵を描かせると、大抵は白ウサギに赤い瞳のウサギを描くはずです。
何でもスミレ色(紫色)には、冷静と情熱を併せ持った意味がある色だそうです。
ジュディの性格を表した、ぴったりの色ですね。
②頑張り屋の性格が応援したくなるから
警察学校に入学した当初は、落ちこぼれで訓練についていけなかったジュディですが、必死の努力でトップの成績を収め、ズートピア初・ウサギの警察官へと成長を遂げます。
物語の主人公にはジュディのような頑張り屋が多いのですが、彼女の場合はその努力が純粋で嫌味がないことから、観客も心から応援することができるキャラクターです。
また上司であるボゴ署長も、分かりやすく「悪役」を演じてくれますので、ジュディと一緒に「イヤな上司!」とイライラして、感情移入してしまいます。
③長い耳の動きでジュディの感情が読めるから
ウサギの特徴とも言える長い耳。
ジュディは感情の変化を顔の表情以外にも耳で表しています。
それを指摘されるシーンとして、ズートピア警察を辞職してニンジンを売っているジュディが両親に元気が聞かれ、母親のボニーから「ウソだわ、耳が垂れているもの」と言われていますね。
個人的には、記者会見で緊張して耳が下がっているジュディに、ニックが記者会見の”心得”を伝授する時の、耳がピンと上がる動きがとてもかわいくてお気に入りです。
感情の変化が大きいジュディですが、顔の動きを見なくてもジュディの喜怒哀楽が分かりやすい、という点が皆に好かれるポイントなのかもしれませんね。
④ニックとのコンビが相乗効果になっている
例えば子猫が一匹でよちよち歩いている姿は充分可愛いのですが、それが2、3匹と複数いるとかわいさも2倍増しになりますよね。
ジュディだけでも充分に魅力的なキャラクターですが、キツネのニックとのコンビが非常に絶妙で、相乗効果でジュディの好感度が上がっていることも無視できません。
もちろんこれには、ニックの性格や過去に受けた傷など、彼独自の個性があればこそ。
「ズートピア」はジュディやニックに、きめ細かい性格設定がなされているからこそ、多くの観客を魅了した作品になったのでしょう。
2.ジュディファンは観てはダメ?「ズートピア」原語版と日本語吹き替え版の違い
「ズートピア」は原語版と日本語吹き替え版では、ジュディのセリフが大きく違っている部分があります。
原語版ジュディは肉食動物を差別していた?
ニックが最後に言う「好き」の意味、原語版と日本語版では解釈が違う?
「ズートピア」原語版と日本語吹き替えの違いについて紹介していきます。
①原語版ジュディは肉食動物を差別している
ご存じの通り、「ズートピア」の根底に流れるテーマは「差別問題」です。
一見すると「良い子」のジュディですが、原語版ではかなりあからさまな差別主義であることが分かります。
またジュディ自身が差別していると意識していない点が、差別という問題の根の深さを表しているのです。
分かりやすいのが、ニックとの対峙の場面です。
初対面で、ニックにやり込められたジュディは悔し紛れに
(原語版では)「あんたなんか詐欺師にしかなれなかったクセに!」とのたまっています。
また免許センターでは、
「私が失敗するのを見て、自分の劣等感が慰められるの?」
といった発言をしています。
ちょっとイヤな女、といった感じですね。
トドメは記者会見でニックに詰め寄られたジュディはうっかり
「あなたは”連中”とは違う!」と口を滑らせてしまいます。
すかさずニックから「”連中”ときたもんだ」と突っ込まれていますが…。
特にニックとの言い合いで、ジュディの中に眠る差別意識が見えるのではないでしょうか。
またジュディも、記者会見の後にニックを怒らせてしまって初めて、自分の持つ差別思考を意識するになるのです。
一度自分の持つ意識に目を向けて、昔いじめっ子だったギデオン・グレイに再会したとき「私も、あなたと同じ」と言うことができたのです。
こうやって見ると、ジュディの「あなたと同じだった」と告げたジュディの言葉には、原語版の方がより強い思いが感じられますね。
②フラッシュとのやり取りは原語版の方が面白い!
ジュディの日本語吹き替えを担当したのは、女優の上戸彩さんでした。
もちろん上戸彩さんはキャリアのある女優ですが、失礼ながら声優としてのキャリアはこれからの女性です。
そのためジュディの喜怒哀楽の表現は、どうしても原語版ジュディを担当したジャニファー・グッドウィンさんの方に軍配が上がります。
上戸彩さん版のジュディは少し幼さが残る”少女”のようなジュディですが、ジャニファー・グッドウィン版ジュディは、聡明で自分の正しさを疑わない、芯の強さを感じられるような印象です。
特にナマケモノのフラッシュとのやり取りは原語版の方が面白いように思えます。
残り時間が気になって早口になるジュディと、「マイ…ネーム…イズ…フラッ…シュ」と相変わらずのペースのフラッシュ。
日本語吹き替え版も面白いですが、この部分は原語版の方がより笑えますので、ぜひチェックしてみて下さいね。
③原語版と日本語版では解釈が違う、ジュディのセリフ
ズートピア警察に初出勤したジュディは、受付にいたチーターのクロウハウザーから「かわいい〜!」と言われます。
吹き替えでは「あのね、ウサギは小さくて可愛いけれど、だからって見た目で判断されるのはあまり…」と言います。
ところが原語版では「あのね、ウサギ同士で可愛いって言い合うのはいいけれど、他の動物に言われるのはちょっと…」と、他の動物からの「可愛い」は嬉しくない、とはっきり告げているのです。
これでは解釈が全く違いますね。
このように、原語版と日本語吹き替え版ではそもそもの解釈から大きく違っている部分が多々あります。
もちろんこれは、小さい子どもも観ることを意識しているからこそのセリフの変更なのでしょう。
しかし、正義感あふれる可愛らしいジュディが好きなファンにとっては、一本芯の通ったジュディの発言に少々面食らってしまうかもしれませんね。
④ラストの意味も原語版と日本語吹き替え版では解釈が違う!
ラストでは警察官になったニックとジュディの会話となるのですが、日本語吹き替え版では「惜しい」感じになっているのです。
ニックは「オレのこと好き(Love)なんだろう?」とジュディに訪ね
ジュディは「ええ、好き(Like)よ」と応えています。
恋愛の「好き」と、友だちの「好き」。
この部分が日本語吹き替え版では上手く表現できずに、意味が分からないシーンになってしまっています。
「ズートピア」は、小さな子どもでも楽しめるように、セリフを分かりやすく変更している部分が多いものです。
大人の観客は、字幕版「ズートピア」を楽しむのもひとつの方法ですよ。
⑤オマケ:ニックの「告白」も解釈が全然違う!
ここからはオマケです。
ロープウェイでニックの過去を告白する重要なシーン。
この部分でも解釈が全く違ったものになっています。
日本語吹き替え版でニックは、過去のトラウマを踏まえて「決して傷つかないと決めた」とジュディに語っています。
しかし原語版では「誰にも弱気な姿を見せないと決めた」と言っているのです。
ふたつのセリフ、意味が全く違っていると思えませんか?
しかも原語版では「弱気な姿を見せない」と言いながら、今までにないほど「弱気な姿」を見せているからこそ、よりニックの傷の深さや悲しみが伝わります。
こうして紹介してみると、原語版と日本語吹き替え版ではまた違った観点で鑑賞することができそうですね。
「ズートピア」ファンはぜひ字幕版の方も堪能して、「これはこんな意味だったのか!」と驚いて下さい。
3.まとめ
「ズートピア」主人公、ジュディが好かれる理由4選と、字幕版と日本語吹き替え版の違いを紹介しました。
日本語吹き替え版のジュディは良い子ですが、原語版ではかなり気の強い女の子、といった印象を受けますね。
吹き替え版だけを鑑賞していた人はもったいない!
ぜひ今度は字幕版で、「ズートピア」の世界を楽しんでみて下さいね!