童話「ピーターパン」は世界中で知られている「永遠の少年」ですね。
ディズニーアニメ版「ピーターパン」の、緑色の服を着た少年とヒロインのウェンディが織りなす世界に夢中になった人も多いのではないでしょうか。
ところで、ウェンディはどんな性格の女の子だった?
どうしてピーターパンと恋人同士になれなかったの?
ここでは、ウェンディのキャラクターや、ピーターパンと恋人になれなかった理由について紹介していきます。
1.「ピーターパン」ウェンディのキャラクター
水色のネグリジェを着たブロンドのヒロイン、ウェンディ。
彼女はどのような性格の女の子だったのか?
「ピーターパン」という物語の中では、どのような役割を与えられていたの?
それではさっそく、物語の簡単なあらすじと共にウェンディのキャラクターについて紹介していきます。
①大人の女性になることを強いられる少女
ウェンディの年齢について、ディズニーアニメ版では特に触れていませんが、童話などでは12歳と書かれています。
思春期にさしかかり大人になりかけているウェンディですが、今でもピーターパンの存在を信じていて、その事を彼女の父親から苦々しく思われています。
「大人なのだから」「女性だから」ウェンディの父親はそういったセリフと共に、ウェンディに大人になることを強要しています。
今の世の中、そのような発言をしたらバッシングの嵐でしょうが、「ピーターパン」の作者、ジェームス・マシュー・バリーの生きた1900年代ではごく当たり前の考えだったようです。
ウェンディは父親(あるいはその当時)が押しつける「女性らしさ」「大人になることの強要」に疑問を抱いています。
当時ではかなり珍しい、時代を先取った考えの持ち主だったのですね。
②「ウェンディ」という名前はキラキラネームだった!?
ウェンディが珍しかったのは、彼女の価値観だけではありません。
今では「ウェンディ」という名前の女性はさほど珍しくありませんが、ピーターパンの物語が出版された当初はかなり珍しい名前だったそうです。
ウェンディという名前の由来は、「ピーターパン」の作者、ジェームス・マシュー・バリーの娘が「友だち」という英語「friend」を「フウェンディ」と舌っ足らずに発音したことをヒントに作られたと言われます。
ウェンディという名前は「ピーターパン」をきっかけにつけられることの多い名前になりました。
しかしピーターパンの物語が発表された1904年頃は、今でいう「キラキラネーム」に匹敵するくらい変わった名前だったのかもしれませんね。
③家でもネバーランドでも「ママ」役
ウェンディにはジョンとマイケルという弟たちがいます。
おそらくウェンディは、両親から「お姉さんだから」「年上だから」という理由で弟たちの面倒を見るように言われていたはずです。
物語の中でも、弟たちを可愛がり、生活の面倒を見るといった描写が描かれます。
つまりウェンディは姉でありながら「ママ」の役もこなしていたのです。
これはネバーランドで暮らすようになってからも同じで、弟たちばかりでなく、迷子(ロストボーイ)たち、時にはピーターパンに対してでも、母親のような振る舞いを求められることがあります。
童話の中では「どうして私がこんなことばかり」といった愚痴や文句を言う場面もありますが、「女性」「姉」という二重の鎖にしばられたウェンディはしぶしぶながらも「ママ役」をこなしています。
ウェンディの12歳という年齢(一般的に思春期の入口)と女の子、そして第一子という環境が、「子どもたちの国」ネバーランドでもウェンディを子どものままにすることができなかった、というのが何とも皮肉に感じられますね。
④ウェンディを演じた女優・声優
ピーターパンの物語は、ディズニーアニメ版が一番有名ですよね。
ディズニーアニメ版「ピーターパン」でウェンディを演じたのは、原語版ではキャサリン・ポーモントさん、日本語吹き替え声優は、ポニー/バンダイから公開された時は土井美加さん、1984年に再上映された際に、セリフは淵崎ゆり子さん、歌部分は鈴木佐江子さんが担当しました。
「ピーターパン」はディズニーアニメ版に限らず、映画、舞台、テレビアニメなどで本当にたくさん作られています。
そのためテレビ版(TBSのテレビアニメでは岡本茉莉さんが担当)でのピーターパンに慣れ親しんだ人が、ふと懐かしい気持ちになって観てみたら「あれ?こんな声だったかな?」と違和感を抱く人が多いようです。
ちなみに原語版ウェンディを担当したキャサリン・ポーモントさんは、同じくディズニーアニメ「不思議の国のアリス」で主人公・アリスを演じた女優としても有名です。
2.ピーターパンとウェンディは恋人になれなかった…その切ない理由
男女がふたりいれば紆余曲折を経てカップルになるのが物語のセオリー。
ですがピーターパンとウェンディは、恋人関係になることはありませんでした。
ピーターパンとウェンディが恋人になれなかった理由とは?
考察も交えて紹介します。
①弟たちの存在がウェンディを「ママ」にした
上記でも少し紹介しましたが、ウェンディには弟たちの「ママ」としてお世話をする義務がありました。
また「子どもたちの国」であるネバーランドでも、迷子たちの「ママ」として食事や子どもたちのお世話役として忙しい毎日を過ごします。
12歳という年齢は、大人から見ればまだまだ子どもです。
しかしウェンディを囲む周囲の人間は、彼女を「ママ」として頼りにしています。
これは”相手役”のピーターパンでも同じです。
そもそもピーターパンとウェンディの出会いは、自分の影をくっつけることができなかったピーターパンに、ウェンディは針と糸で影を縫いつけて元通りにしてあげます。
出会い頭から「子ども」であるピーターパンのお世話をしているのです。
これでは「ママ」としての生活に忙殺され、誰かと恋愛を楽しむ余裕など、ウェンディにはなかったのかもしれません。
②ティンカー・ベルの「小姑」振りにウェンディはウンザリ!?
ティンカー・ベルはピーターパンの相棒として、常に彼の側に寄り添っています。
ディズニー映画のオープニングクレジットで、お城に妖精の粉を振りかけているのもティンカー・ベルですね。
ティンカー・ベルはかなり気の強い妖精で、ピーターパンと仲よしのウェンディの存在が許せません。
そのジェラシーは時に度を超していて、ウェンディを人魚の泉で殺しそうになったエピソードもある程です。
ピーターパンと仲良くなったり、いいムードになるたびに、すぐ側に真っ赤に光ったティンカー・ベルがいる(彼女は怒ると赤い光が出る!)のです。
ピーターパンがいないところでは、言葉こそ話しませんが、何やかやと嫌がらせや意地悪をするティンカー・ベル。
そんなティンクの”小姑”振りにウェンディがウンザリした…のかどうかは分かりませんが、ピーターパンとウェンディの「ハードル」がティンカー・ベルにあることは間違いがなさそうです。
③ウェンディは大人になりつつある女の子だった
ウェンディは父親や周囲の子どもたちから大人になることを求められ、実際にその年齢に近くなりつつあります。
一方のピーターパンは、永遠の少年と呼ばれるくらいですので、12歳(ディズニーアニメ版)から年を取ることはありません。
ウェンディが永遠にネバーランドで暮らしたのならまた違ったかもしれませんが、物語のラストで、ウェンディは「ロンドンに帰りたい(大人になりたい)」とピーターパンに告げ、ネバーランドを去ります。
12歳で時を止めてしまったピーターパンは、後にロンドンを訪れた際、「ウェンディがちっちゃくなった!」とびっくりします。
実は彼女はウェンディの娘、ジェーンだったのです。
おそらくウェンディとネバーランドを冒険した時から、20年近い歳月が流れていたのに、ピーターパンはそれに気づかなかったのです。
同じ時間を過ごすことができない者どうしの恋愛は、悲しい結末になりがちです。
ピーターパンがウェンディの娘と会った時に感じたであろう、切ない気持ちは、まさに”大人にしか分からない”感情かもしれません。
3.まとめ
「ピーターパン」のウェンディにスポットを当てて、彼女のキャラクターや、ピーターパンと恋人同士になれなかった理由などを紹介しました。
ただストーリーを楽しむだけでも充分に面白い「ピーターパン」ですが、少し視点を変えると、また違った見方ができて楽しいですね。
今度のお休みは、ピーターパンと一緒にネバーランドを旅してみませんか?
もちろん、ウェンディと一緒にちゃんと「大人」に戻ることは忘れずに!